2010年4月12日
JIPPO事務局 髙木美智代
2010年3月26日~4月4日の日程でスリランカを訪問し、JIPPOが昨年6月より実施しているハプタレー地区幼稚園支援の現地進捗状況の確認及び、もう一つの支援事業である幼稚園教員研修を視察しました。

遊具、グラウンド工事全景。
右奥園舎の前にオープンスペースが出来る
スリランカ ハプタレー地区の「ハプタレー市立幼稚園」では、工事の遅れは見られるものの計画に沿って作業が進められていました。
建設作業に従事する工夫は10人ほどの地元住民で、まだ多くは基礎工事の段階でしたが、改修部分のうちの園舎とグラウンドをつなぐ階段は完成しており、巷でよく階段の段差が不揃いといった拙劣な工事もみられる中で、ここの仕上がりは上出来だと皆満足げでした。
新しくできる子ども用トイレや手洗い場は屋根や外壁、排水溝が姿を現し始め、職員用トイレは内壁を塗っていました。手洗い場は子どもが5人くらい並べる広さです。
これらの整備に続き、新しく増築する「オープンスペース」に着手します。既存の建物の南東に張り出す形で、幅約10メートル、奥行き約4メートル、高さ約1メートルのステージを設置します。出来上がるとグラウンド側からお遊戯発表会といった催し物を見ることが出来るでしょう。5月には完成の予定です。

3月29日、30日の2日間の日程で実施した幼稚園教員研修ワークショップを視察しました。
ハプタレー地区の幼稚園支援事業の柱の一つが今回実施した教員のワークショップです。会場は駅近くのタウンホールで、準備にはハプタレー市長自ら駆けつけ、机やいすの手配や会場設営の指揮をとってくれました。ステージには「本願寺たすけあい運動、JIPPO提供」と書かれた立派な横断幕が掲げられ、研修にステータスを添えました。ハプタレー地区で初めて、地元で使われている言語「タミル語」で行ったのが大きな特徴で、市街地だけでなく周辺の紅茶農園の幼稚園教諭合わせて40人が参加しました。紅茶の大規模農園で働くタミル人は教育の機会に乏しく、生活は単調で、わずかな収入も父親の酒で消えていくといいます。教員が研修によって新たな知識を得たり情報を共有できる仲間が出来たりすることは大きな刺激になるでしょう。

研修の企画運営は、元JICA青年海外協力隊員の馬場繁子さんを代表に1992年からスリランカ各地で幼児教育支援を行っている現地NGO「スランガニ基金」にお願いしました。
初日は体を使ったコミュニケーションゲームで緊張をほぐし、概論、文字練習の方法、歌とゲーム、工作などを行いました。幼稚園の先生たちが子どものようにはじけた笑顔で実習に取り組んでいるのがとても印象的でした。
二日目は栄養学や救急法といった専門講習もありました。難しい内容も、自分の生活と対比して考えられるよう工夫するなど、分かりやすい、質の高い講義を展開していました。
強い日差しと蒸し暑い首都コロンボから190キロ。内陸の高地ハプタレーは有名な茶所というだけでなく、さわやかな気候とどこまでも続く山々の眺望が美しい屈指のリゾート地でもあります。
JIPPOがフェアトレード商品として扱っているウバ茶は、FLO(国際フェアトレードラベル機構)の認証を受けた農場「グリーンフィールド農園」から購入している茶葉です。訪問したとき、ちょうど地区の有識者が集まって植林の検討会を行っていました。スリランカは紅茶産業が低迷し、津波災害のあと気候が変わって雨が多くなり、洪水や土砂崩れが起こって保水力のない茶畑の山は問題視されるようになったといいます。森林づくりを含めた適切な土地開発のあり方を本格的に考え始めていました。

グリーンフィールドでは茶摘みの体験や加工所も見学させてもらいました。10キロにもなる袋を頭に下げて斜面で茶葉を摘むのは大変です。しかも山の天候は変わりやすくあっという間に霧が上ってきたかと思うと土砂降りの雨が降ります。現地のコーディネーターに「大変な仕事ですね」と話すと、「どんな仕事でも苦労は付き物です。それよりも問題は人々が教育を受け、時代に沿った暮らしができているかどうかだと思います」という答えが返ってきました。スリランカ国内400以上という紅茶農園はさらに20数社のプランテーション会社が分割統括しています。農民の福利厚生に消極的な会社も少なくありません。そうしたなか、有機無農薬栽培でフェアトレードを行っているグリーンフィールドの試みやハプタレー市立幼稚園への支援がモデルケースとなり波及してほしいものです。
(以上)